@sushiの日常

中堅経理のつぶやきの延長です。

経理の仕事って何?【資産管理編-3】

  

みなさんおはようございます。

非常に珍しく朝の投稿です。笑 

 

さて、今回も先日に引き続き経理業務のうち資産管理について書いていこうと思います。

意図せずシリーズものとなってしましましたが、これを読む前に資産管理編1、および2についても目を通してもらえるとありがたいです。

 

atsushi11.hatenablog.com

 

atsushi11.hatenablog.com

 

大まかな項目としては以下の7点についてです。

 

1. 現金及び現金同等物の管理

2. 売掛金の管理

3. 売掛金以外の未収入金の管理

4. 棚卸資産もしくは商品残高の管理

5. 固定資産の管理

6. 売買目的有価証券の管理

7. 売買目的以外の有価証券の管理

 

前回は5の固定資産の管理の箇所でだいぶ量を書いてしまったのでいったん切りました。

今回も5固定資産の管理の続きから書いていきたいと思います。

 

前回の記事では固定資産の管理のうち、固定資産の取得(固定資産に計上すべきかどうかの判断など)について主に書いていました。

 

固定資産を取得したのち、どうなるかというと、それらの固定資産を全て稼働~廃却まで管理するという仕事が出てきます。

 

固定資産の稼働って?と思った方もいらっしゃるでしょうか。

 

固定資産の稼働というのは、一言でいうと事業の用に供するということです。

そして、重要なポイントは固定資産が事業の用に供して初めて建設仮勘定から固定資産勘定へと振替され、減価償却が始まるということです。

 

具体的にいうと、生産設備を購入しても、電気工事をしていなくて設備の電源が入らない状態では固定資産の完成とは言えず、建設仮勘定に計上することになりますし、当該設備がテスト等含め完了し、設備として稼働し始めた日から機械装置となり、減価償却できるという考え方になります。

 

ここでは稼働し始めた日から、と記載していますが、実務面では月末に当月完成する固定資産を経理立ち合いで製造や生産技術の方と実物が稼働していることを見に行って確認し、その月から資産完成、償却開始としているところもあると思います。

厳密にいえば資産完成ごとに経理も含め立ち合いを行い、償却費は日割り計算を行うべきではありますが固定資産の件数が多い工場等では一定の基準を設け月ごとの償却計算としているところもあると聞きます。

 

ここで実際の立ち合いで気を付けたいのは、実物が稼働しているかどうかだけでなく、対象の資産は計上しようとしている科目として妥当かというところです。

つまり、機械装置を車両運搬具として計上しようとしていないか、備品を無形固定資産として計上しようとしていないかも実際に立ち合いが必要な理由です。

計上科目をきちんと区分する必要があるのは、各計上科目毎に耐用年数(償却期間)が違うこと、計上科目の間違え方によっては固定資産税の申告も間違うことが挙げられます。

減価償却については、対象の資産が事業のように供した後、適正な期間損益計算を行うための会計処理です。

つまり、機械装置を車両運搬具としてみたり、備品を建物として減価償却計算をすると適正な期間損益計算が行えていないということになり、政務調査等では指摘の対象となる可能性もあるので、きちんと計上科目の確認もしましょう。

 

また、償却計算ですが、資産件数が少なければ無理くりエクセルで、、、ということもできなくはありませんが、会社によっては専用の固定資産管理及び減価償却費の計算ツールを持っているところもあります。

実際、弊社も専用ツールをつかっています。

全てとは言いませんが、こういう固定資産管理ツールは会社ごとに一癖あってまずツールの使い方を覚えるだけでも実務面では苦労することがあります。

 

専用ツールを使っているところでは出てきた数値を仕訳入力する、もしくは会計システムと連動していれば計算された償却費がそのまま仕訳反映されるというような形で決算には反映されていきます。

仕訳自体は各固定資産項目(機械装置や車両運搬具など)から減価償却累計額への振替となります。

 

固定資産の科目の計上も正しく済んだし、償却計算も終わったし、、、と思っていてもまだあるのが固定資産です。笑

 

今度はBSにすでに計上されている固定資産が実際にあるかどうか(実態に合っているかどうか)をチェックする必要があります。

そのために半年に一回、もしくは年に一回の全件棚卸を実施します。

基本棚卸を実施するのはそれぞれの資産の管理部署ですが、経理も棚卸の依頼や棚卸表(棚卸データ)の展開をしたり、棚卸に立ち会ったりするので結構大変です。

しかも棚卸をして全件資産が問題なくあればいいですが、実物がないとか、別の場所に移動してる、とかそういったことがあるので、提出された棚卸表や棚卸データを確認し、再度ものを捜索してもらったり、一緒に棚卸に立ち会ったりします。

この辺りも結構大変な要素の一つです。

 

ちなみにちょっと話がずれますが、棚卸をした結果、資産がないとなると結構重罪です。会社の現預金で購入した資産を無くすということは会社の現預金を紛失したのと同様となり、会社によっては顛末書もので、管理部署は相応の責任を負います。

身の回りに固定資産がある人は紛失には本当に気を付けましょう。

 

そして、棚卸の際には資産が稼働しているかどうかの確認も重要になってきます。

つまり資産が稼働していないということは事業の用に供していないということになりますので、稼働していない期間の減価償却を停止させなければなりません。

資産が数日間稼働していない状態であれば、減価償却を停止するまで至りませんが、数年間稼働していない、もしくは稼働見込みがないものについては償却を停止するのが妥当でしょう。

 

また、設備の稼働見込みについて、今後一切稼働見込みがない(その設備で作る製品の生産が完全に終わった等)場合で、残存簿価が残っている場合には減損の処理も必要になります。

減損についての定義や計算まではここでは省きますが、減損とは対象資産のキャッシュの獲得能力が極端に落ちている、もしくはキャッシュ獲得能力がほとんどない場合に、相応の現在価値をBSに反映させるための処理になります

減損については多くの場合、特別損失もしくは営業外損失となることも覚えておきましょう。

 

そして固定資産の最後の業務が資産廃却です。

 

多くの企業は毎年資産の購入について投資をしていきます。

その際、既存の資産の廃却を行っていかなければ、その企業の敷地はすぐに固定資産で埋まっていってしまいます。

投資を行い、企業の代謝を保つためにもきちんと資産の循環を行う必要があり、投資によって取得するものがあれば、廃却する資産も出てくるというわけです。

なので、ここまで取得やBSへの計上後の話を書いてきましたが、廃却するときもそれをきちんとBSに反映させなければなりません。

 

廃却については基本管理部署が必要ないと判断すれば設備なり備品なりを廃却業者に引き渡し、処分することになります。

経理も資産廃却の際の資産引き渡しには立ち合い、対象の資産が廃却されているか、別の資産まで廃却していないか等を確認します。

そして廃却の確認ができた資産をBSから払い出すことになります。

 

廃却の際にはきちんと写真をとり、間違いなくその資産の廃却であること、日付を確認できるようにしておき、間違いなくその日に処分したことが分かるようにしておくのがベターです。

また、資産を処分引き渡ししたときの検量表も税務調査や会計士監査では必要になる場合があるのできちんと保管しておくといいでしょう。

この時に経理に話を通さず廃却したりすると、先に記載したように棚卸したときに実物がないなどの状況が発生するわけです。

 

さらに、経理の視点から、棚卸の結果や償却停止、減損しているものについて不要な設備を廃却させることも事業所の代謝UPには有効です。

 

ここまでが固定資産のおおまかな業務になります。

 

追加で会社によっては予算策定をする際、償却費の将来計算等もすることになる場合があります。

それは通常業務外なのでいったんここでは割愛します。

 

ようやく5つ目が終わった。笑

固定資産業務って書いてきて長かったですが、それだけ奥が深い業務でもあります。

固定資産に詳しくなるということはその事業所、工場、営業所に詳しくなるということでもあるので、初めて経理を経験する方には勉強として非常にいい業務だと思います。

 

そして6つ目の売買目的有価証券は取得したときのBS計上、売却した時のBSからの払い出しをきちんとする、各会計期間末の時価評価を正しく行う、ということに尽きると思います。

 

ただし、これについては現状でいえば金融や証券会社に勤務していなければほぼ触れることはない業務だと思います。

弊社もメーカーなので、実際売買目的有価証券は保有していません。

 

簿記の問題ではよく出てくる売買目的有価証券ですが、実務では一度も仕訳を切ったことはありません。笑

 

よほど資金に余裕のある企業が売買目的の有価証券を保有することはあるのでしょうが、それほどの規模の企業の多くはファイナンス専門の子会社をもってそこで管理されているので、専門会社に行った場合は必要な業務ですが、ほとんどの企業では直接触れることはないでしょう。

 

もちろん知識として、簿記の処理を覚えておくことは有益です。

いつ何時そういった資産の保有があるかわかりませんからね。

 

そして最後に7つ目の売買目的以外の有価証券についてですが、これもおおよそ売買目的有価証券と同じです。

ただし、売買目的でないので、各会計期間末の時価評価の必要はありません。

 

なお、時価評価は必要ありませんが、著しく価値が下がった場合等には固定資産と同様減損等の処理にてBS計上額を適正にする必要があるのでおおよその時価評価額は把握しておきましょう。

 

そもそも売買目的でない有価証券って何?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば事業提携のための株式譲渡によって取得した株式だったり、ゴルフの会員権等が当てはまったりします。

まぁ今どき会員権なんてもってるところは少ないかもしれませんが、、、。

 

というわけで3篇に渡って長らく書いてまいりましたが、資産管理編は今回で完結です。(一応)

 

資産管理については、一番最初に書いた通り、貸借対照表の適正化及び健全化が経理としてのタスクでもあるので書いてきました。

経理といえば損益計算書でしょ?って思う方も多いかもしれませんが、会社の実態を表現するという意味では資産管理業務のほうが、会社の状況をつかめると思います。

そういう意味では就職で経理につく人、経理未経験で転職される方にとっては最初の担当として一番いいと思うので、損益計算の話より先に資産管理について書きました。

 

資産管理について長々書いてきましたがポイントは以下です、

 

貸借対照表の適正化健全化

 →BSには資産の状況、実態を正しく計上する必要がある。また、資産状況を見ながら改善提案していくことも経理の重要な仕事である。

 

実態と貸借対照表の一致

 →BSに表示されている資産の状況が実態と合っているか照らし合わせ、不整合がないようにする。企業の不正会計には往々にしてBSの不正計上があるので、それを見逃してはならない。

 

各部署との連携を十分にとっておく

 →入金情報も棚卸資産や固定資産の棚卸も経理だけでは確認しきれないので、日ごろから各関係部署とは連携を取り合い、情報を常にアップデートすること。また、各部署と連携をとることが今後の業務を円滑に進めるうえで重要であることを理解すること。

 

自分で書いてきたことまとめるって大変ですね。笑

 

ポイントの書き方も未だ統一性がないですが、今回のまとめは異常としたいと思います。

 

いかがだったでしょうか?

少しでも皆さんの経理業務のイメージに資することができたのであれば幸いです。

 

本日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

よろしければいいねやシェアをお願いします。

コメントもお待ちしております。

 

それでは、ありがとうございました。