@sushiの日常

中堅経理のつぶやきの延長です。

経理の仕事って何?【資産管理編-1】

 

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皆さんこんばんは。

 

 

本日は前回に続いて経理の業務について書こうと思います。

 

今回は資産管理についてです。

 

資産管理と一言にいっても幅は相当広いです。

なので、一人ですべて担当することはないとは思いますが一部でも業務のイメージにつなげてもらえるといいなぁと思って書きます。

 

大前提として、経理にはBS(貸借対照表)の健全化というお題目があり、適正な期間損益計算と同じくらいBSに計上するもの、つまり資産/負債/純資産については実態を正しく会計処理する必要があります。

 

今回はそんなBS計上案件のうち、資産管理について具体的な業務と合わせて書いていきます。

 

資産管理という側面で見ると、大まかな業務は以下7つくらいに分類されると思います。

1. 現金及び現金同等物の管理

2. 売掛金の管理

3. 売掛金以外の未収入金の管理

4. 棚卸資産もしくは商品残高の管理

5. 固定資産の管理

6. 売買目的有価証券の管理

7. 売買目的以外の有価証券の管理

 

 

1つ目は現金及び現金同等物の残高管理です。

まぁこれは世間一般の経理のイメージとしてよく考えられるものではないでしょうか。

よく経理は会社の金庫番などと言われますからね。

ただ、現在においては、実際に会社に金庫を置いてカギを開けると数千万の札束がザックザック、経理が札束を一枚一枚数えて、、、、ということはほとんどありません。

そこそこの規模で上場会社などの場合などは基本的に銀行の当座預金にて残高の管理をしています。

うちの会社の場合ですが、旅費の仮払い等も含めて口座振替処理で対応するので、会社に現金残高自体がほぼありません。

会社に現金をおくと、その管理に手間がかかる(金庫の保持、鍵の管理など)のと現金を置いておくことは不正取引の温床になる場合が多いため、リスクヘッジも含め銀行の当座預金にて現預金の残高管理をしているところも多いと思います。

なので、残高管理といっても入出金の受払の結果と銀行預金の残高が一致するかの確認をすれば概ね残高の妥当性としては合格となります。

ただ、現預金は当月の残高も重要ですが、今後の入出金の受払と残高状況(つまりキャッシュフローが重要になります。

当月の現預金の残高と今後数か月の売上/.仕入を考慮しキャッシュフローを計算していくことが現預金勘定がマイナスになることを防ぎ、また現預金勘定が過剰に増減することを防ぎます。

また、現預金関係の仕事の難しいところとして、「入金されたお金に色がついていない」という点です。

例えば、当社からA社に対し、取引が当社からの売上のみであれば、A社からの入金は売掛金の入金となり、入金額を売掛金から取り崩すことになります。

しかし、規模が大きくなり、当社からA社に対し取引が売上、貸付金、有価証券の売買など多岐にわたるようになった場合、月末に売掛金入金、貸付金の返済、有価証券の売買代金がドーンと入ってきて入金の内容を一つ一つ潰しこんでそれぞれの残高勘定から取り崩したり損益勘定(PL)に計上したりといったことが発生します。

もちろんすべて手作業で処理している会社は少ないと思いますが、入金条件については各案件について複雑になっている場合が多いので、システム等で最終的に振り分けられないものについては手作業で分類をしているところもあります。

(少なくとも弊社はそうです。)

そういった業務のなかでは、営業やその他部署と連携を取り入金案件について事前に情報を仕入れておくことも重要ですね。

 

2つ目は売掛金の管理です。

売掛金については主な決算時の確認項目は当月入金された案件が適正に売掛金勘定から取り崩しされ、当月売上処理した案件が適正に売掛金勘定に計上されて正しくBSに反映されているかどうか、という点になります。

BSの残高管理という観点からはそこまで確認の多い項目ではありません。

ただ、売掛金については日々の業務として、入金計画検討と入金フォローが会社の命運を握るくらい大事です。

なぜなら、売掛金に計上されているものは、PL上(損益上)は会社の利益に貢献していますが、キャッシュフローという観点ではまだ何も貢献していないからです。

会社は営業活動をし、売上を上げ、その代金を回収して初めて継続した企業活動ができるのです。

資金は企業にとって血液と言われますが、まさしくその通りで、売上がいくら大きくなってもキャッシュを回収できなければその企業は倒産します。

(逆に損益がボロボロでもキャッシュさえ回り続けていれば倒産はしませんが、その話はまた別の機会で。)

なので売掛金についてはきちんと毎月の回収計画をたて、予定通り入金があるか、入金がされていなければフォローをしていくことが非常に重要となります。

長期入金停滞などもってのほかです。

なので売掛金の残高には毎月目を光らせ、売上の増減以上に売掛金が増加していないかチェックし、不良残高が残らないよう明細まできちんと確認することが日々の業務の中で大事になってきます。

合わせて顧客との兼ね合いもありますが、売掛金の早期回収についても提案実行できると会社のキャッシュフロー改善に貢献できることもあります。

 

3つ目は売掛金以外の未収入金の管理です。

こちらも売掛金の残高管理同様、決算時の確認項目はそこまで多くなく、売上以外で請求書を発行した案件などの残高について適正にBS/PLに反映されているかを確認することくらいです。

ただ、こちらも日々の業務として入金遅れの有無の確認と入金フォローは必須です。

売掛金以外の未収入金なので、例えば会社の土地の一部を貸して賃料を請求していたり、エンジニアを派遣して作業してもらった場合のアブセンスフィーなどの請求等がこのへんに当てはまり、金額としては売掛金に比べれば小さくなります。

ただ、単発で請求書を発行するような案件は、ある一定のスポット取引になることが多く、毎月入金される売掛金とは違って入金遅れや長期停滞が発生しがちです。

特に弊社の海外子会社なんかは請求書発行して放っておくと音沙汰なしなんてざら。

たとえ金額が売掛金と比べて小さくても、キャッシュフローの観点、財務諸表の健全化の観点からも回収は必須です。

また、入金停滞が1年を超え、流動資産でなく固定資産として計上されると引当金の計上も必要になる場合があるので注意が必要です。

毎月の入金が締まったあと、入金遅れが発生しているような案件はすぐにフォローをし。長期入金停滞を発生させないようにしていきましょう。

 

4つ目は棚卸資産や商品残高の管理です。

ここまでは資金関係のお話だったのでどちらかというと事務所オンリーの業務の話でしたが、この辺りからは現場、営業所も含めての話になってきます。

棚卸資産や商品残高の管理については、まず残高の把握がめちゃくちゃ大変です。

工場であれば月末に工場内すべての部品や仕掛品、製品の棚卸を行いますし、小売りのような業態だと閉店後や店舗休業日に全製品の棚卸を行っています。

そして工場であれば仕入、売上された売上原価の受払から理論残高を、小売りであれば仕入と売上の内容から理論残高を弾き、残高を1件1件確認していくということになります。

この辺りは工場や小売店の規模にもよりますが、規模が大きくなればなるほど棚卸の制度は落ちてきます。(基本棚卸をやるのは生産管理やほかの部署ですが、経理はその棚卸をチェックしに行ったりします。)

そこそこの規模になると製品一つ一つの残高の確認なんてとてもできなくなってくるので、多少の差額は棚卸減耗や雑損で処理されることになりますが、管理がザルだと、実際棚卸をしたときにとんでもない金額の差額が発生したりします。

なので、日々の業務として棚卸をしたときに理論残高との差額を発生させないように、日々生産管理や店舗担当者に受払を確認させ、おかしな残高や架空の残高を発生させないことが重要です。

経理の立場としては実際に棚卸をする必要はありませんが、定期的に棚卸に同行して正しい処理が行われているか等の牽制を働かせておくことも必要です。

また、工場の場合、年度末には会社の担当の会計士が棚卸に同行する場合があるので、そのデモンストレーションとしておくのもいいでしょう。

あと貸借対照表の健全化という面から言えば、棚卸に同行して長期停滞在庫がないか、棚卸されていない簿外資産がないかというところも確認しましょう。

多くの品目を扱う工場や小売店の場合、停滞在庫や簿外資産が発生しやすい(見逃されやすい)傾向があります。

停滞在庫はキャッシュフロー悪化の要因となるだけでなく製品としての価値も低いと判断され期末に大きく価値を下げられたりする場合があるので、不要な在庫は廃却を促進し、常にクリーンにしておくことが大切です、

簿外資産はまず実際のものの動きが会計的に正しくBSに反映されていないのでアウト、会社の資産を正しく申告していないので税務的にアウト、とダブルパンチを食らう可能性があるので発生は絶対に避けなければなりません。

このような会計的、税務的なリスクを避けるためにも、BSの健全化を保つためにも、生産管理等の部署と連携して棚卸資産や商品残高の管理はきちんと行いましょう。

 

少し長くなったので本日はこの辺にしましょうかね、、、。

そんなに長く書くつもりなかったのですが。

 

続きは後日、固定資産の管理から書きたいと思います。

 

本日のポイントは以下です。

経理の仕事は損益計算書(PL)の作成のみでなく、貸借対照表(BS)の健全化、管理というのも仕事!

BS管理ができていない会社はどこかで立ち行かなくなる可能性が高いので、きちんと管理を行いましょう!

 

結局次の話も同じポイントになるんですけどね。笑

 

では続きをお楽しみに。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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面白ければよろしくお願いします。

 

では今度こそ本当にお疲れさまでした。