経理の仕事って何?【出金業務編】
皆さんこんにちは。
今日は今までと少しテイストを変えて、大学卒業後、私が一般企業へ入社してからの仕事についてのことについて書こうと思います。
仕事のことについては一回ではとても書ききれなさそうなのでいくつかに分けて書くことにします。
まず書こうと思うのがタイトルにあるように出金業務ですね。
経理といえばまずお金の支払の業務ってイメージの方も多いと思いますし。
おそらく多くの企業でも最初に担当に割り振られることが多いのが出金業務や決算伝票の作成でないかと思います。
経理の仕事として月末に請求書をまとめて銀行にいってATMで支払いを、、、、と考えている方、イメージされる方が未だいらっしゃるかもしれませんが(自分も働く前まではそういうイメージでした。)、現在ではそういった企業はほぼないです。
事務員が支払日になって銀行へ直接出向いてATMで一件ずつ支払いをおこなう、、、、というのは昔の話で、ある程度の規模でシステム化が進んでいる企業であれば、請求書がきたら各部署の事務員が出金伝票を起票し、経理が確認、承認されれば指定された期日に口座振替等で支払が行われるというのが一般的です。
出金伝票の確認については結構いろいろあって大変です。
大体のイメージだと
1.支払先が請求書と一致しているか。
2.システムに入力された金額が請求金額と一致しているか。
3.指定された口座に支払いされるようになっているか。
4.請求書に記載された支払期日に間に合うか、もしくは早すぎる支払いでないか。
5.支払う金額について計上される勘定科目は妥当か。(出金伝票が決算伝票を兼ねたシステムの場合)
6.請求されている内容は妥当か。
7.二重支払いになっていないか。
といったことを確認する必要があります。
では細かく見ていきましょう。
1つ目の支払い先が請求書と一致しているか、について。
そんなもの間違えるわけないでしょ~って思った方もいるかもしれません。
個人宛にくる請求書なんかだと支払先を間違えたりすることなんてまずないと思いますが、工場なんかで数十社~数百社の取引があると案外わからなくなることもあるのです。
具体的に言うと、請求書が〇〇運輸の△△支店となっているのに、出金伝票は××支店への支払いとなっていたり。
〇〇商事からの請求なのに、出金伝票は〇〇商事システムズみたいな子会社への支払いになっていたり。
そういう間違いって結構あったりするのです。
だからそういった支払い先の情報はほんとに気を遣います。
支払先を間違えたりすると、”出金事故”扱いとなって、会社によっては顛末書ものなので、まず最優先の確認事項です。
2つ目は請求金額とシステムに入力されている数値があっているか、ということ。
これも月数件程度の請求書ではまず間違うことはないですが、数十件~数百件の処理となると、データを入れてくる部署の方がミスタイプしたり、桁が一つおおかったり少なかったりすることはまれにあるので、支払先同様、最優先の確認事項です。
出金金額の間違いも出金事故ですね。
出金金額の誤りは、出金事故となるだけでなく、未払い額が残ってしまう場合には先方に残額分の請求書を改めて作ってもらったり、過払いが判明した場合には逆にこちらが請求書を発行しなければならなかったりと、後々の処理も相当面倒なので、めっちゃ怒られます。笑
自分も一回やらかして相当怒られました。
あと会計士がついていて監査等があると、出金事故を起こした後は内部統制不備となって業務フローやシステムフローの改善まで指導される場合があります。
3つ目は支払い口座があっているか。
支払先と支払い口座って同じでは?と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、支払先の相手が大企業となると銀行口座をいくつも持っている場合があります。
一つの取引先で複数口座を持っている場合は指定の口座に振り込まないと先方で認識してくれなかったり、場合によってはクレームが来ることもあるのできちんと口座まで一致を確認する必要があります。
4つ目は支払い期日に間に合うかどうかです。
請求書には必ずいつまでに支払ってくださいという支払期日が記載されています。
例えば〇月〇日までに入金をお願いします、とか請求書発行後〇日以内に入金をお願いします、といった具合ですね。
基本的に支払い期日は絶対に守らなければなりません。
ただ、ずぼらな部署があったりすると、請求書がきているのに処理を忘れたとか先方からもらった請求書を引き出しに入れていたまんまだったとか言ってくる輩がいてぶっ飛ばしたくなります。
そうなると至急先方に連絡をとり、入金が遅れている旨や今から処理した場合の最短の入金予定日を伝えるなど余計な業務が増えることになるので本当に面倒です。
また、入金遅れの場合はそれに伴う利息を請求されることもあるので、注意が必要です。(1か月程度の入金遅れの場合はとやかく言われることはないですが、3か月とか遅れると利息の話もでてきます。金額にもよりますが。)
さらに、請求金額が大きい場合(100万円とか以上の高額の場合)、相手のキャッシュフローにも影響を与えますし、相手が中小企業でカツカツのキャッシュフローだった場合、状況によっては先方の口座残高がマイナスになって最悪不渡りということもありますので、支払期日までに請求書をそれぞれの部署に処理させることは必須です。
ここで、キャッシュフローについて軽く触れましたが、自社目線で考えた時には、入金は早くしてもらう、支払は遅くする、というのが自社のキャッシュフローを有利にする鉄則になります。
なので、支払期日に対して早く払いすぎることも問題です。
請求期日が1か月先なのに今日支払いのデータ投入になっているとか、あまりにも早い支払いは避け、きちんと支払い期日で支払うということを徹底したいですね。
5つ目は出金伝票が決算伝票を兼ねている場合に限るのですが、その支払い内容が計上される勘定科目にとって妥当かというところも確認しなければなりません。
例えば、明らかに飲食店での交際費にかかわらず、製品の材料費として処理されていたりしたら一発アウトです。
出金伝票を計上した総勘定元帳は、会計士等にもチェックされる内容なので、明らかに勘定科目違いの出金伝票等があると監査等での指摘内容となる場合があります。
また、先に出した例でもありますが、交際費や一括償却資産については税制上の控除がある内容でもあるので確実に妥当かどうかの確認をする必要があります。
税務署の監査等でも当然確認されるないようになります。
(過剰に交際費や一括償却資産の科目へ計上して税制控除を過剰にしていないか、逆に計上が少なくて税制控除が過少になっていないかを確認する必要があるという意味です。)
これは余談なので読み飛ばしてもらって結構ですが、私が勤めているのがそこそこの規模の会社なので、そこからの意見として、会社についている会計士の監査より税務署の監査のほうがよほど怖いです。
税制については自分の業務範囲内で関連するところがあればきちんと知識を身に着けておきたいですね。
6つ目は請求されている内容は妥当か、ということです。
これは正直当事者しかわからないことも多々ありますが、毎月定例の請求書等はいいとして、交際費扱いで私的な飲食代が請求されていないかや、取引実態のない請求書が処理されていないかは確認する必要があります。
まぁつまりは横領の王道的な手口だからです。
個人で購入した物品を会社宛ての請求書を出して支払う、接待でもないのに会社の交際費で処理する、私的な移動の請求を会社の旅費で処理するというのは可能性を考えれば結構あることだと思います。
なので、こういった案件についてはきちんと物品の納入があるか確認する(実物があるか確認する)、接待に参加した人たちの名簿を出させる、出張実績と請求内容を照らし合わせるなどきちんと裏どりすることが必要です。
また、場合によっては名前が似ている子会社の分の請求書が来たり、親会社向けの請求が来たりすることもあったりするので、請求書の支払い内容の妥当性については常にチェックをする必要があります。
7つ目は二重支払いになっていないかです。
二重支払いについても先に述べた出金事故の一つです。
基本的に出金伝票については請求書の原本をもって作成し、支払処理するのが基本です。
原本に対して一品一葉になっていれば二重に支払うことはないためです。
ただ、ときたま請求書のコピーで処理をしてしまったりすると請求書の原本とコピーで二重の支払いをしてしまう場合があるのでコピーの請求書では対応しないのが多くの場合の原則になります。
ただ、昨今の状況から原子原本での処理は経理のテレワークの大きな阻害要因になっていることも事実です。
また、請求書を紙で発行しない電子請求書を採用する企業も増えてきています。
今後は時代に合わせ請求書処理の原原紙原本主義も変わっていくのかもしれませんね。
ここまで書いてきましたが、おおよそ経理の出金業務というのはこのくらいになります。
これを会社の規模にもよりますが月数百件程度はチェック/承認をしていきます。
皆さんのイメージと合ってたでしょうか、それとも大きく違ったでしょうか。
おさらいですが、経理の出金業務についてポイントは以下7点です。
1.支払先が請求書と一致しているか。
2.システムに入力された金額が請求金額と一致しているか。
3.指定された口座に支払いされるようになっているか。
4.請求書に記載された支払期日に間に合うか、もしくは早すぎる支払いでないか。
5.支払う金額について計上される勘定科目は妥当か。(出金伝票が決算伝票を兼ねたシステムの場合)
6.請求されている内容は妥当か。
7.二重支払いになっていないか。
あくまで上記は出金についてのチェック項目で、実際には出金システムの決算反映やマスタの整備なども業務になってきます。
この辺りは会社によって異なるので詳細書くことは控えますが、もしこれから経理を目指される方がいらっしゃいましたら参考にしてみてください。
本日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
それではよい週末を。